【教えて欲しい!】「バイリンガルは思考力が低い」という評判の真実

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「バイリンガル育児って、子どもの思考力に悪影響があるの?」

2言語を操るバイリンガルは、脳が活性化され、創造性や問題解決能力が優れるというイメージと同時に、

  • 「言葉がごちゃまぜになる」
  • 「思考力が遅れる」

といった悪い評判もつきまといますよね。

本当にそうなのでしょうか?


近年では脳科学の発展により、バイリンガルと思考力に関する研究が進んでおり、研究結果からバイリンガルが子どもの思考力に与える影響は、必ずしもマイナスばかりではありません。

この記事でわかること
  • バイリンガルは思考力が低いのか、高いのか
  • バイリンガルの実態
  • 幼児期のバイリンガル育児はまったく問題ない
  • バイリンガル育児で絶対にやってはいけないこと

バイリンガル育児を検討している親御さんが知っておきたい情報を網羅しています。

バイリンガル育児のメリットだけを知りたいという方でも、子どもの思考力に悪影響があるのではと不安な方でも、この記事でバイリンガル育児に関した疑問が解消します。

目次

【教えて欲しい!】バイリンガルは思考力が低いの?高いの?

結論から伝えると「一概に高い低いは断言できない」のですよ。

バイリンガル育児から思春期に至るまで、どのポイントで切り取っているかを考えると「低い」場合も「高い」場合もあると言えます。

バイリンガルは頭が良い?そう印象付けられる理由

バイリンガルということだけで、「すごい」「頭いいね」なんて言われますが、全くそんなことはありませんよ。
ただそうなるように私生活を工夫しただけなので、子どもたちも努力をして身につけたという認識はありません。

そう印象付けられる理由はいくつか考えられます。

①高い言語能力

2つの言語を操るバイリンガルは、高い言語能力を持っており、知的なイメージを持たれやすいです。

②柔軟な思考力

異なる言語で思考を切り替える必要があるバイリンガルは、柔軟な思考力を持っていると考えられます。

③多様な文化への理解

複数の言語を話すバイリンガルは、異なる文化に触れる機会が多く、国際的な視野を持っていると評価されます。

これらの特徴がすべてバイリンガルに当てはまるわけではありませんが、一般的にこのような見方をされていることが、「頭が良い」という印象を与えていると考えます。

しかしバイリンガル(言語能力)は、あくまでも手段(ツール)でしかありませんので、頭が良いと結論付けることはできないと思います。

実際に我が子も得手不得手があり、理数系は二人ともに苦手です。しかし上記で挙げた3つの能力はバイリンガルだからこそ備わっていると感じる場面が結構ありますね。

【バイリンガルの本質】 言語だけでアイデンティティは生成されない

Q.言語を習得する過程で複数のアイデンティティが備わってしまい思考力に影響するんじゃないの?

アイデンティティと言語の教育は密接に関係はしていると思いますが、アイデンティティが言語だけで生成されるとは思えないですね。

アイデンティティが形成される中で、言葉は文化の一部です。母国の様々な文化や他者との人間関係から生成されるもの。バイリンガルは2つのアイデンティティを持つと考える人も多く、「特別な人」と見られる傾向もありますが、そもそもアイデンティティは他者と共有するものではありません。本質は個人差があり、その人なりの形であればいいのではないでしょうか。

バイリンガルの実態 思考力に影響を与える可能性について

2つの言語を操っている脳は大変・・・?

バイリンガル・モノリンガルに限らず、2言語を扱うのは大変だと思いますよね。

バイリンガルは、日本語を使っているときには「日本語脳」のみ、英語を使っているときには「英語脳」のみを使っている、と想像する人は多いかもしれません。しかし実際には、片方の言語を使っているときにはもう一方の言語知識も働いていて、そのときの状況に合わせて使うべき言語を判断し、使わない言語のほうを抑制しています。

:「赤くて丸いフルーツ」、という概念を表現したいとき、日本語の「りんご」と英語の“apple”という二つのラベルが脳内で浮かび上がり、英語を話す相手と話しているときであれば、日本語の「りんご」を抑えて、英語の“apple”を口に出す、というイメージです。そして、このようなコントロールは、本人の意識にも上ってこないほど、瞬時に行われているのです。

「大変そう・・・」と思ってしまいがちですが、最新の研究では前向きな結論が出ていますよ!

幼少期からの二言語接触の効果

幼少期からの二言語接触は、発達段階にある脳を二言語環境に適応させ、複数の言語を処理する能力において脳がより効果的に働くことができるようになる。子どもが幼少期から二言語に触れた場合、子どもにはそのように脳を組織する能力があり、目標言語の話者に近い発音や文法情報の処理、語彙理解が二言語で可能になる

思考力低下と思わせるタイミング【言語抑制と注意散漫が原因】

バイリンガルの脳内では、言語の組み合わせに関わらず基本的には両言語が活性化されています。

【脳内】
2つの言語を抑制 → 注意を散漫にさせる → 処理能力の一部が奪われている
→ どちらの言語かわからない?? → 両方準備しないと・・・ → 思考力が遅くなる

第一言語と第二言語のそれぞれを同程度活性化させなければならない。

普段日本語を第一言語としている人は、第二言語である英語の活性化を日本語と同程度にするために、日本語の活性化を抑制します。


日本語のみの条件両言語の条件で与えられた同じ課題に対し、両言語の条件下である方が判断が遅くなるというわけです。タイムラグが生じてしまうことが「思考力が低い?」という誤解を生んでいるのです。

第2言語での思考力は母語と比較すると低下傾向にある

第2言語での思考力は、母語での思考力と比較すると低下する傾向があります。

第2言語で課題をこなす場合、母語で課題をこなす場合よりも処理速度が低下し、エラーが多くなることが研究で示されています。

第2言語は母語と比較すると習得度が低く、脳内で処理するのに時間がかかるためと考えられます。

思考力への影響は状況によって変わる:バイリンガルの多様性

幼児期のバイリンガル育児は影響が小さい傾向

幼児期から2つの言語に接触しているバイリンガルは、思考力への影響が小さい傾向があります。

脳の柔軟性

幼児の脳は柔軟性が高く、2つの言語を習得しやすいです。

言語習得の自然さ

幼児期は言語を自然に習得する時期であり、脳への負担が少なくなります。

認知機能の発達

バイリンガル育児は、幼児の認知機能の発達を促進する可能性があります。

当然個人差があります

思考力への影響は、個人差があることも付け加えておく必要があります。

思考力には個人差がありバイリンガルかどうかで判断するものではないと思いますよ。

  • 脳の構造: 脳の構造は人によって異なるため、2つの言語処理能力にも個人差があります。
  • 学習意欲: 2つの言語を学ぶ意欲が高い人は、積極的に脳を鍛え思考力への影響を軽減させます。

思考力の要素に対するバイリンガルのメリット

バイリンガルは、思考力に以下のようなメリットをもたらす可能性があります。

創造性

2つの言語で思考するため創造性が刺激され、新しいアイデアが生まれやすくなります。

問題解決能力

異なる視点から問題を捉えられるため、問題解決能力が向上します。

マルチタスク能力

2つの言語を同時に処理するため、マルチタスク能力が向上します。

認知機能向上

バイリンガルは認知症の発症が遅いという研究結果があります。日常的に言語をコントロールするために脳の前頭葉を使うことによって認知機能が鍛えられている、と説明されています。

バイリンガルの思考力が低いと結論付けたくなるワケ

バイリンガルがモノリンガルよりもボキャブラリーの習得が遅れてしまうことがわかっています。

バイリンガルは2つの言語に対するボキャブラリーを習得するため、モノリンガルよりも遅れるのは当然なんです。

英語がペラペラの子どもを見ると、つい「日本語がおろそかになっているのではないか」と結論付けたくなる気持ちもわかりますが、これまで「バイリンガルだから思考力が低い」と結論付ける論調は、嫉妬心や劣等感からくるものではないかと感じてしまう場面がありました。

その「遅れ」は、発達障害や学習障害における「遅れ」とは少しニュアンスが異なり、バイリンガル特有の発達の過程であって、劣等感を抱く必要はありませんし、気にしなくていいと思っています。

気を付けるべきこと【セミリンガルの恐怖】

セミリンガルとは、2つの言語をある程度話せるものの、どちらの言語も中途半端で十分に習得していない状態を指します。


セミリンガルは2つの言語のどちらも十分に使いこなせいため、言語能力や思考力に悪影響を及ぼす可能性があります。

子どもの言語習得を安易に考えるのは危険!

どちらの言語も年齢相応に達していない不幸な状況に。
ボキャブラリーが不足し自信をもってコミュニケーションを取れなくなる → 自ら会話をする自信がどんどんなくなっていく・・・

母語の認知能力を習得させてあげるのが親の一番の責務と考え、第2言語はそのあとで十分です。
しっかりと子どもの母語育成に取り組むことが何よりも重要です。

まとめ:バイリンガルだから思考力が低いことはない【重要なこと】

バイリンガルだからという条件だけで思考力が低くなることはありません。

時期や習得状況によって大きく異なるため、一概に良い悪いと断言はできませんが、バイリンガル育児をする上で親が理解しておかなければならないことがあります。

重要なポイント
  • 幼児期からバイリンガル育児をする場合は、脳への負担が少なく、思考力への影響も小さいことがわかっている(むしろ思考力が高まるメリットのほうが多い)。
  • バイリンガルの思考力に影響を与えるという考え方は、ある一面を切り取った判断である。
  • バイリンガルのネガティブな研究結果は、移民の方々を対象にしたものが多いという意見もある。移民=排除と考える社会や環境など、さまざまな要因が関係している可能性があるという意見もある。
  • そもそも思考力には個人差があり、バイリンガル・モノリンガルで結論づけるものではありません。
  • バイリンガル育児においては、セミリンガルになってしまうリスクも考慮しておく。

バイリンガルは様々なメリットを持つ一方でデメリットもあります。

バイリンガル育児を検討している場合は、これらの点を理解した上であなたの家族に合った学習法を実施することが重要です。

少なくとも我が子で言えば、「バイリンガルだから思考力が低い」と感じる点は全くありません。
このような論調で、バイリンガル教育に二の足を踏んでしまう保護者の方がいるとすれば、大きな機会損失をしていると断言します。

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